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佐渡・相川地域(海岸)での約800年前の津波堆積物

2012年08月22日

佐渡市相川地域の春日崎付近の海岸に面した低地において,約800年前の津波堆積物を発見した(調査:2012年6月).

新潟大学では,佐渡を含む日本海沿岸での津波履歴の解明のため,佐渡・加茂湖での津波堆積物調査(新潟県の受託研究)や海岸部での調査を行っている.今回,相川地域の海岸に面した低地において,津波によると考えられる礫質堆積物の連続した分布を確認し,試験的に年代測定をおこなった.今後,加茂湖での調査結果と合わせて,日本海北方域における津波履歴の解明を行っていく予定である.

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写真1 津波堆積物を含む低崖の層相
写真1 津波堆積物を含む低崖の層相

礫混じりのシルト質な堆積物の間に,淘汰の悪い中~大礫を含む粗粒砂層が分布している.含まれる礫や粗粒砂層は,現在の海浜堆積物と類似する.海浜堆積物から離水して礫混じりのシルト質な堆積物が堆積した以降に,海浜起源の粗粒堆積物が分布することから,この堆積物は津波起源であると推定される.低崖の比高は1.7m程度.低位の地形面の標高は約5m.

写真2 写真1に連続する部分での堆積物の層相
写真2 写真1に連続する部分での堆積物の層相

写真1の露頭に連続する低崖で,写真1での津波堆積物Aは写真2に認められる.写真2では津波堆積物Aが下位の礫混じりシルト層を侵食して,海浜堆積物と接している.

写真3 写真2の一部の拡大
写真3 写真2の一部の拡大

写真2の露頭の一部の拡大写真で,津波堆積物Aの上位からも年代試料を採取した.年代試料は,シルト層の中で有機質な部分を採取している.

津波堆積物Aの下位のシルト層の年代は,AD559-646とAD602-662(2試料を分析:暦年)を示し,上位のシルト層の年代は,AD1029-1164年(暦年)を示すことから,津波堆積物Aの年代は800~1000年前程度であると推定できる.