2018年02月14日
2018年2月4日からの福井県における大雪災害調査報告(速報)
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1.はじめに
2018年1~2月,北日本から西日本にかけての日本海側を中心に断続的に大雪が降り,福井市では1981年の豪雪(56年豪雪,196 cm)以来37年ぶりに積雪が140 cm(2月7日)を超えた.また,山形県大蔵村・肘折では2月13日午後21時の積雪が445 cmとなるなど,広い範囲で記録的大雪となった.総務省消防庁の2月13日の発表によると,2月4日以降の大雪による死者は計10人(新潟県4人,富山県1人,福井県5人),負傷者(東北・北陸地方)は計190人(重傷54人,軽傷136人)に上った.また,国道8号線の大規模な立ち往生(約1500台.66時間),建物やビニールハウス等の倒壊,ライフライン(生活道路,鉄道,水道)の障害等が各地で発生しており,広域的かつ多方面に大きな影響を及ぼした.2018年1~2月の大雪では里雪が卓越したため,都市部(平野部)が大きな被害を受けたことが特徴であり,都市雪害の観点から多くの課題を残す結果となった.そこで新潟大学災害・復興科学研究所では,災害の痕跡や記憶が新しいうちに雪害の実態と発生過程を明らかにし,今後の防減災対策に資することを目的として,2018年2月10日に福井県の大雪災害調査を行った.
2.調査者
河島 克久・松元 高峰・渡部 俊(新潟大学災害・復興科学研究所)
3.調査箇所
本調査では2月10日に石川県加賀市から国道8号線で福井県に入り,あわら市,坂井市,永平寺町,福井市,大野市,勝山市を調査した.調査ルートを図1に示す.

4.主な災害状況
(1) 国道8号線(あわら市,坂井市)
大規模な立ち往生が発生した区間は片側1車線が多く,除雪された雪のため道路幅員が極めて小さいことが分かった(あわら市).また,道路に面した建物から道路への落雪も認められた.坂井市における2月10日9時頃の路面状況を写真1,2に示す.路面には圧雪が残っており,除雪作業に伴う渋滞も発生していた.歩道除雪がほとんどできていないため,歩行者は車道を歩かざるを得ない状況であった.


(2) カーポート屋根の崩落
坂井市の住宅街ではカーポートの屋根の崩落が認められた(写真3).除雪をしていた住民の方の話では,38豪雪,56豪雪以来の大雪とのことであった.

(3) 農業用ハウスの屋根の陥没
坂井市では屋根が陥没した農業用ハウスが見られた(写真4).

(4) 織物工場の倒壊
永平寺町では,織物工場(機業所.木造平屋建て)が雪により全壊した(写真5).早朝に発生したため人的被害はなかった.

(5) 雪崩による通行止め
福井市では,2017年12月末に土砂崩れが起きた県道の迂回路の市道脇斜面で雪崩が発生し,通行止めとなった.聞き取り調査及び現地調査によると,雪崩は降雪が強かった2月6日ごろ発生したものであり,急斜面から多数の表層雪崩が市道(延長1 kmぐらいにわたって)に出てきており,道路上には多数の雪崩デブリが認められた(写真6).道路脇の斜面は比較的密な樹林となっていることから,いわゆる「すり抜け雪崩」であった可能性がある.

(6) 空き工場の倒壊
勝山市では,現在は使用されていない空き工場が倒壊し(写真7),工場前の道路が通行止めとなっていた.
