2019年10月19日
2019年10月の台風19号による新潟県津南町の被害状況について、10月23日に現地調査を行ったので以下に報告する。
(新潟大学災害・復興科学研究所 渡部 俊)
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長野県との県境に位置する津南町足滝地区では、堤防を越流した水が地区内に流入し、家屋の床上浸水や道路、農地の冠水被害が発生した。信濃川の河川水位の上昇により、堤防高の低い堤防と地山の取り付け部分から主に流入した形跡が確認できた(写真1)。足滝地区は三方を山地斜面、一方を堤防によって囲まれた凹地形の地域であり、いったん浸水すると、水の抜けにくい地形となっている(写真2)。地区内を通る県道は、アスファルト舗装や路床の流出が見られた。
JR津南駅のやや下流に位置する津南町巻下地区では、信濃川の堤防が決壊した箇所が見られた。この部分では堤内地が浸水し、主に農地と農道が冠水していた。家屋1棟が床下浸水の被害を受けたと考えられる。この地点は、信濃川が岩壁に当たって流路が大きく変化する場所にあたり、堤防の護岸や堤体が浸食によって破壊されている。確認に行った被害発生1週間後の信濃川の流れは、堤防決壊箇所で渦を巻いて流れていた(写真3)。
これ以外に津南町、十日町市では、家屋の浸水箇所などは確認できなかった。信濃川に建設された堤防を越流した箇所はないものの、部分的に堤体の堤外地側の浸食箇所が点在していた。しかし、小規模河川や樋門の設置されていない排水路等と信濃川の合流地点では、合流部より侵入した水によって農地の部分的な冠水が確認できた。周囲の堤体に破損が見られないことから、小規模河川や排水から逆流して浸水したと考えられる。

(国土地理院HPより)
