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2012年3月7日に上越市板倉区国川で発生した地すべりの発生域近傍における斜面積雪状況

2012年3月12日

2012年3月12日

2012年3月7日に上越市板倉区国川で発生した地すべりの発生域近傍における斜面積雪状況

新潟大学災害・復興科学研究所
環境変動科学部門・気水圏環境分野

 2012年3月7日に上越市板倉区国川で発生した地すべり災害(写真1~3)に関して,気水圏環境分野では3月10日に発生域(削剥域)の近傍斜面において積雪調査を実施した。積雪断面観測を行った地点は,写真1に示したように滑落崖近傍(標高185m)の北北西向き斜面(斜度約14度)である。
 積雪断面の状況を写真4に,断面観測結果を図1にそれぞれ示す。約2 m厚の積雪には,部分的にしまり雪が含まれているものの,大半は融雪水や降雨の作用でざらめ雪に変態している。ほとんどのしまり雪層において,融雪水の浸透しやすい水みちが形成されており,そこではざらめ化が進行している。また,積雪全層が水を含んでおり,重量含水率は表層(観測日にもたらされた降雨のため含水率が高い)を除くと5~10%程度である。
 以上より,3月10日時点における地すべり発生域の斜面積雪は融雪初期の段階にあると考えられ,融雪水の積雪底面流出が始まっているものと推定される。しかしながら,融雪最盛期には入っておらず,顕著な底面流出の発生は今後である。斜面の積雪水量は約950 mmに達しており,この水量が今後1ヶ月半程度の時間をかけて流出することになる。なお,地すべりとは直接関係はないが,今冬は低温多雪であったため,積雪の硬度が大きいことも特徴である。

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写真1 地すべりの発生状況(3月10日撮影)
写真1 地すべりの発生状況(3月10日撮影)
写真2 発生域から見た押出域(3月10日撮影)
写真2 発生域から見た押出域(3月10日撮影)
写真3 発生域に見られる巨大な雪のブロック(3月10日撮影)
写真3 発生域に見られる巨大な雪のブロック(3月10日撮影)
写真4 滑落崖近傍の斜面における積雪断面(3月10日撮影)
写真4 滑落崖近傍の斜面における積雪断面(3月10日撮影)
図1 滑落崖近傍の斜面における積雪断面観測結果
図1 滑落崖近傍の斜面における積雪断面観測結果