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【研究成果】冠雪火山における融雪に関連した火山泥流の災害リスク評価に関する論文を国際誌に発表しました。

2021年12月28日

災害・復興科学研究所の片岡香子教授,松元高峰特任准教授らは,山形大学理学部の常松佳恵准教授とともに,冠雪火山における融雪に関連した火山泥流の災害リスク評価に関する論文を国際誌Earth, Planets and Spaceに発表しました(2021年12月11日付け)。

本研究では,群馬県草津白根山で2018年1月23日に発生した水蒸気噴火について,噴出物調査およびスノーサーベイ,河川のモニタリング,数値シミュレーションから,噴火後に発生する懸念のあった火山泥流(ラハール)の災害リスク評価を行いました。噴火による火山灰を採取し,その粘土分や粘土鉱物などの特定を行ったところ,粘性の高い火山泥流が発生する可能性が高いことが示唆されました。また,複数回のスノーサーベイから,積雪水量の高度依存性を見いだし,火口周辺のリスクが高く,高標高の地点での積雪水量を見積もることができました。これらを流下シミュレーションのパラメータ値として用いることで,新たに形成された噴火口からの火山泥流の流下範囲を予測し,危険地域を示すことができました。河川モニタリングからは,噴火後の顕著な火山泥流の発生は認められなかったものの,冬に冠雪する火山から発生した噴火について,融雪やrain-on-snowなど複数の火山泥流発生シナリオを考慮し,多数の流下シミュレーションを行いました。本噴火イベントのように,想定されていない噴火口からの噴火や,事前にハザードマップなどが策定できていない地域においても,噴火直後の噴出物調査や積雪観測から,迅速にリスク評価を行う手法を示しました。本研究は,科学研究費補助金によるものですが,研究所が実施してきた学長裁量研究プロジェクト「冠雪活火山地域における火山-雪氷複合災害シナリオモデルの構築:分野融合的アプローチによる新・災害リスク評価法」の一環として行われ,他の冠雪火山にも応用可能なリスク評価の手法や技術の開発を進めています。

著者:片岡香子1・常松佳恵2・松元高峰1・卜部厚志1・河島克久1
所属:1.新潟大学災害・復興科学研究所,2.山形大学理学部

論文情報:Kataoka, K.S., Tsunematsu, K., Matsumoto, T., Urabe, A., Kawashima, K. Crisis hazard assessment for snow-related lahars from an unforeseen new vent eruption: the 2018 eruption of Kusatsu-Shirane volcano, Japan. Earth Planets Space 73, 220 (2021). https://doi.org/10.1186/s40623-021-01522-0

以下のEPS誌のホームページで,論文が閲覧できます。
https://earth-planets-space.springeropen.com/articles/10.1186/s40623-021-01522-0
https://earth-planets-space.springeropen.com/track/pdf/10.1186/s40623-021-01522-0.pdf

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