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山形県鶴岡市七五三掛地すべり(2009.9現在)

 山形県鶴岡市七五三掛地区の地すべりは,2009年2月から活動を開始し,融雪期とともに集落部分に大きな変位ゾーンが発生して,複数の住宅が被害を受けている.2009年9月19日現在の状況を報告する.なお,対策工事により観察時点での活動はほぼ停止していると推定される.9月中に建物を撤去する予定とのことであった.

 地すべりの全体は南北約5km,東西約3kmで南北方向にのびた地すべり地形を示している.また,地形区分から判断すると初生的な地形の中に活動の累積による地すべり地形がみられ,集落が位置する部分が累積活動部分の滑落崖直下部分,集落南方の畑地部分が広い緩斜面地形を示している.

 山形県HPによる地すべり全体の地形と亀裂分布図によると,2009年の活動は,集落の位置する累積活動部分が再活動した形態を示している.集落周辺には約10年前に施工された集水井があり,小規模な活動があったことがうかがえるが,今回の活動は深度が深く大規模で集水井内も全体に変形していた.2009年9月現在,今回の活動部分の北部でも複数の集水井を施工中であるが,北部部分の道路等には目視できるような変形や亀裂は認められなかった.

主滑落崖西部に位置する家屋の被害.家屋の奥の崖は滑落崖部分(変位約2m)
主滑落崖西部に位置する家屋の被害.
家屋の奥の崖は滑落崖部分(変位約2m)
主滑落崖の変位.写真中央の道路の縁辺が滑落崖(変位約5m) 道路滑落部分から写真右側が地溝状の落ち込み(幅約15−20m)
主滑落崖の変位.写真中央の道路の縁辺が滑落崖(変位約5m)
道路滑落部分から写真右側が地溝状の落ち込み(幅約15−20m)
主滑落崖の変位.滑落崖(変位約5m).地溝状の落ち込みの部分
主滑落崖の変位.滑落崖(変位約5m).地溝状の落ち込みの部分
地溝状の落ち込みの部分.右側の宅地,畑地はすべり方向に階段状に変形している
地溝状の落ち込みの部分.
右側の宅地,畑地はすべり方向に階段状に変形している
地溝状の落ち込みの部分の東側
地溝状の落ち込みの部分の東側
主滑落崖と住宅基礎の変位
主滑落崖と住宅基礎の変位
主滑落崖上部の変形
主滑落崖上部の変形