新潟大学 English

新潟県中越地震における地震断層の探査と地表変状の構造地質学的調査

豊島剛志・小林健太・立石雅昭・
構造地質学グループ(新潟大学大学院自然科学研究科・理学部地質科学科)

 2004年新潟県中越地震の余震域において,構造地質学的視点から地表変状を観察した。
その結果,以下のような結果(概要)を得た(図1)。
また、渡部直喜(積雪地域災害研究センター)らとともに、地震に伴った地下の断層等の動きや地下の環境変化をみるために、消雪井戸等の地下水の調査を開始した。

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調査結果と考察

  • 従来知られていた活断層(六日町盆地西縁断層、小平尾断層、信濃川低地西縁断層:片貝断層など,同東縁断層:悠久山断層など)、他の大規模な断層・地質境界(猪倉山断層、新発田-小出構造線)沿いに、明瞭な地震断層は認められない。
  • それらの近傍では、地盤・建造物の破壊がより顕著になる場合がある。斜面などの地形的特徴による被害の増大に加えて、一部では地表付近で地震動が増幅されたと考えられる。
  • アスファルト舗装の盛り上がりや亀裂が発生している場所は、地形の傾斜が大きく変わる所(傾斜の急変点)や、盛り土と本来の地盤の間である(図4,5)
  • 国土地理院のホームページにて公開されている空中写真を見ると、猪倉山断層の東方に、数百m~約2kmにわたって連続する、北西-南東方向の断裂("地震性断層")が複数認められる。余震域には、これら断裂に代表されるような、震源断層と直交あるいは大きく斜交する断裂(断層)も存在する。
  • 深部起源の湧水からみて、魚沼市旧守門村~旧広神村周辺の新発田-小出構造線は、深部~地表直下までが震源断層として活動した可能性がある。
  • 猪倉山断層は、地表に露出していない可能性が大きい。地表では、キンク褶曲的な形態で、地層の走向・傾斜が急変する場所にあたる。
  • 過去の断層面を使って、地震に伴う地すべりが発生している場所もある。