新潟大学 English

ほくほく線埋設部での地表部の沈下

卜部 厚志 (災害研)

 ほくほく線の十日町駅以南は、線路が段丘面下に入る形となりカーブをしながら信濃川の橋梁部まで、最大でも土かぶり厚10m程度のトンネル工で施工されている。 トンネル部分は30年前の国鉄の時代に施工されたもので、H鋼を打ち込んでの開削方式でトンネルを作り埋め戻したものである。 一部の新聞でも報道があるように、トンネル真上のほほ全区間に5-20cm程度の沈下がおこり、真上あるいは近接する住家が基礎から傾く被害を受けている。 要因はトンネル側面の埋め戻し砂が液状化したためとされているが、現況はトンネルそのものが沈下したようにトンネルの幅で沈下している。 埋め戻しの深度や埋め戻しの材料によって沈下の量が異なるようであった。 このような開削工法で施工することは、鉄道以外でも大規模下水道の管路等でも行われているため、十日町の事例は他地域の都市部でも発生する可能性のある問題であると思われる。

写真1 十日町市北新田での市道と田んぼの沈下
市道と田んぼが沈下している。市道部分の沈下は15cm程度.田んぼの水がたまっている幅がほぼトンネルの幅である。
写真2 十日町市北新田での田んぼの陥没孔
トンネルの側壁部分の上部にあたる地点で穴が開いている。
写真3 十日町市北新田での被害
市道部分は沈下している。中央の住家も少し写真左に沈下している。トンネルの真上は車庫。
写真4 十日町市北新田(川治川左岸)での状況
小平尾断層付近の斜面。
田んぼが沈下して水がたまっている。白い杭はトンネルが地下にあることを示すもの。
写真5 十日町市美雪2丁目での被害状況
写真左の”雪国住宅”は右に、奥の作業所は左に傾いている。道路の沈下は20cmくらいある。
写真6 十日町市美雪2丁目での被害状況
写真中央の住家のほぼ真下がトンネルの位置。基礎が割れて傾いている。道路の変状は10-15cm
写真7 十日町市美雪2丁目での被害状況
玄関部分の基礎の沈下による破壊。トンネルは写真左の畑のところにある。畑が沈下したために盛土が下がり基礎を破壊した。