新潟大学 English

長岡市六日市町の強振動ゾーン

安井・卜部(災害研)

東山丘陵東縁部の長岡市・六日市町地域において、木造家屋の大破・倒壊ゾーンが存在することが明らかとなった。 六日市町は白岩(長岡市妙見)の崩壊箇所の北約2kmに位置し、沖積面より3~8m高い"段丘状"の緩斜面にある集落である。 木造家屋の大破・倒壊は集落の北側に限って認められ、その北側(滝谷町南部)、南側(中潟町や妙見町)および西部(俵野町)では、 外見上全般に瓦落ち程度の軽微な被害(下記の被害の程度で1~せいぜい2)となっており、明瞭な被害集中帯として認識できる。 ただし、中潟町では谷に面する地域で被害程度がやや大きくなっている(ランク3)。

 大破・倒壊ゾーンは六日市小学校から市街地に沿って約500m(幅は50~200m)にわたって見られ、 木造構造物(2F木造が主体、そのほか1F木造、雪国3F構造を含む)の大破・倒壊率は約70%となっている。 また、この大破・倒壊ゾーン中にある延長約200m(幅約50m)の範囲での大破・倒壊率は85%に及ぶ。 下記に示す被害の程度は全般にランク3~一部4で、雪国3F構造の上層部のひずみも3棟認められた。 さらに、RC構造物の一部にも変状が認められた。

 なお、被害の程度は低い方より、
  1. 木造2F(1F)の屋根被害(棟の部分の落下)
  2. 木造2Fで1Fが農機具を入れる倉庫や車庫の大破・倒壊(街中の場合は1Fが店舗)
  3. 木造2Fの一般住宅の建物のひずみによる大破・倒壊
  4. 木造2Fの一般住宅で比較的施工が新しいものの建物のひずみによる大破・倒壊
  5. 雪国3F構造(高床式木造2F構造)の2F以上の上もの建屋のひずみによる大破・倒壊
  6. 雪国3F構造の1Fの鉄筋コンクリート部分に亀裂(上ものはひずみ)である

 大破・倒壊ゾーンは"段丘状"地形の台地の縁から沖積面に降りる斜面部に分布し、北北東-南南西方向に延びている。 この南延長上には妙見堰の変状地点があり、北延長上のJR線線路や道路には波状変形が明瞭に認められる。

写真1
木造家屋の被害状況
写真2
木造家屋の被害状況
写真3
雪国3F構造の上部層のズレ
写真4
六日市小学校プールのタイルの変状