新潟大学 English

高町団地調査報告

安井・卜部・鈴木・片岡・本郷(災害研)

 高町団地(長岡市,高町一丁目~高町三丁目)は、東山丘陵東縁部の独立した丘陵地に位置する新興団地で、新築を含め新しい家屋が密集している。 丘陵地は標高90m程度で、北北東-南南西方向に延びる狭長な形状を呈し、団地は延長約1.2km、幅約0.25kmにわたり、 小起伏の丘陵頂部を切り盛り土工によって平坦化して造成されている。丘陵地に分布する地層は、既存資料によると前~中期更新世の魚沼層群、 および中期更新世の御山層である。今回の地震によって、団地の外周道路周辺の宅地が大きな被害を受けた。 多くの地点で円弧すべりが発生しており、その規模は最大で幅約50m,深さ約10mに及ぶ。 すべり地点では、家屋が斜面側に大きく沈下しているほか、その周辺では団地外周から内側約20~50mにわたって多くの亀裂が認められ、 家屋の基礎まで亀裂が延長したり、基礎そのものが移動している事例も認められる。

 これらの変状は、旧谷部の頭部に位置し、すべり箇所には盛土(軟質なシルトブロック混じり粘性土)が分布している。 したがって、宅地の被害は旧谷部の盛土地盤に選択的に生じた可能性が大きい。
造成前の地形と対応させ、被害と地盤の関係について検討していきたい。

写真1
外周道路南端部のすべり
写真2
写真1と同地点,家屋が基礎とも斜面下方に移動しているみ
写真3
外周道路周辺のすべり、すべりの内陸側にも多くの亀裂が見られ、宅地が不安定化している。