新潟大学農学部 早川嘉一
新潟県中越地震の被災地は豪雪地域に位置し、地震災害よって不安定化した地盤や被災家屋においては、 これから降り積もる積雪の荷重や地面に多量に供給される融雪水の影響が大きな心配である。雪情報を刻々と把握・解析し災害の予知・拡大を監視することが重要となる。
以下に示す図は山古志村の1983年、1984年の降水・気温観測デ-タから積雪量(積雪水量)と日融雪水量(積雪の底面から地面に流れ出る水量)を経時的に解析した結果です。
1983年は最大積雪深264cm(2月14日)で平年並の積雪量であって、3月の中旬から融雪が始まり4月17日に消雪している。 この間の約1ヶ月間の総融雪水量は1116mmとなる。 融雪期間前半の日融雪水量は30~40mm/d、後半では50~60mm/dとなっている。 7日間連続融雪水量300mm以上が1週間続いてる。雪荷重としては3月10日に最大積雪水量(1080mm)となり、その荷重は1m2当たり1tonを越える。 1984年は雪の多い年で最大積雪深は425cm(3月8日)であって、3月下旬の融雪開始から5月9日の消雪日までの約1ヶ月半にわたって連続して融雪が生じ、総融雪水量は1640mmとなっている。融雪期間前半の日融雪水量は30~40mm/d、後半では60~70mm/dとなっている。 7日間連続融雪水量300mm以上が12日間続く。 雪荷重としては3月22日に最大積雪水量(1520mm)となり、その荷重は1m2当たり1.5tonを越える。 被災地の防災対策として積雪および融雪状況を刻々と解析・把握し対処することが重要であり、 そのためには被災地区における気象観測(降水量、気温、積雪深など)システムの構築が急務となる。