新潟大学 English

小千谷市、土川~若葉の調査報告

小林健太(大学院自然科学研究科)ほか、計7名

小千谷市の土川から若葉を調査した。
防災科研の地震計(K-NET小千谷 NIG019)が 1500galを記録した場所である。
地表の変状を構造地質学的視点から観察することが主な目的である。

観察結果

写真1
北西-南東に延びる道路が撓曲様に変形している。 歩道外側の縁石が外れて下方の田んぼに落下しているが、元々の位置との間に転落・滑落跡が観られないため、これらは飛翔により移動したことが判る
写真2
マンホールが最大1.2mの高さで抜け上がっている
写真3
抜け上がったマンホール外壁には周囲のアスファルト端により“条線”が刻まれている。
直線的なものと波曲するものとがあるが、後者は北西-南東方向の外壁に選択的 に刻まれている。
この写真では15cmの間に5-7波長分が観察される。
写真4
自動販売機が南東方向に転倒している。 底面には波曲した“条線”が刻まれている。 路面上の足跡から販売機を転倒前の姿勢に復元すると、北西-南東方向に卓越して振れる“条線”が復元される。

考察

道路が車道・歩道とも分離せずに変形していることから、少なくとも盛り土よ り下までが一様に変形していると判断される。(写真1) 縁石列が北西-南東方向に 短縮されることによって、瞬間的に座屈が生じて縁石が弾き出された。この短縮が断層運動によるものか否か、今後測量などにより検証する。
また、マンホール外壁や自動販売機底面の“条線”は、北西-南東方向の振動を示唆している。(写真2-4)
この振動がS波によるものと仮定し、NIG019に記録された2Hz弱の周波数をそのまま適用すれば、マンホールの抜け上がり速度は約5cm/sと計算できる。

付記

BSN新潟放送の同行取材を受けた