新潟大学 English

調査団発足初期の調査記録

2004年10月24日の調査

■小林健太

BSNのヘリに搭乗し、被害のもっとも酷い付近の上空からの観察。
山古志付近ではラプチャーが多数見られたが、崩壊によるものか地震断層によるものか判定については困難。

■大川・保坂

妙見堰(みょうけんぜき)中心に観察。
左岸側(西側)ほど損傷大。 左岸側の塔がこすれた様なあとがみられること。
県道589号線(信濃川右岸)が大規模に崩落し、トラック1台が水没している。

■高浜・卜部

小千谷中心に調査。
寺の本堂がふき飛んだと見られる現象から、極めて強い衝撃がかかったこと。
信濃川の河川敷きで液状化が広範囲に生じており礫が噴出している。
その割れ目の方向は30E、 30Wの2方向。小千谷の船岡山の西縁付近で強振動した場所が直線的に並んでいる可能性がある。

■渡部直喜ほか

にごり沢付近まで行ったが、場所により墓の転倒率が著しく違い、揺れ方が局所的に異なっている可能性。

■豊島ほか

見附→栃尾→半蔵金。
森上の南かから急激に被害が大きくなり半蔵金付近の被害大。
墓石転倒率90%。見附付近で平野との境界部付近も被害が大きい。

■立石・藤平

柏崎→松代→十日町。
柏崎の安田周辺の家屋の損壊が目立つ。鯖石川から252号崩落したトンネルの先は道路が激しく損壊。

■山岸・野崎・安井・アヤレウ

半蔵金周辺の崩落を中心に調査。
道路の亀裂・陥没と斜面災害で、7.13豪雨によるものとの相違点、地すべり地形との関連を調査。
  • 多くの道路・亀裂陥没は地すべり地形の範囲とほぼ一致しているから、それとの関連のが大きい。
  • 調査範囲での斜面災害では、乾燥した表層崩壊で深度は浅いが、
    遷急点でとくに凸地形で発生(これらは地震特有)している。
    また、震度6くらいが多数発生したため、やせ尾根では畑化作用が起こっているようだ。
  • 調査した範囲内では、7.13の豪雨によるものもあるが、今回の地震によるものが多い。

7.13と比べて平滑型が多い。
インターネットでの入手情報、余震の空間的分布域から西傾斜の逆断層らしいこと。
地表での場所は破間川(あぶるまがわ)に当たること。
上記の報告から、場所により実際の揺れ方に局所的な差異が大きいこと、強振動帯は構造的弱線(従来から断層が推定されていた位置)や基盤の地質構成によっているらしい。

2004年10月25日の調査

■豊島・小林ほか(理)計8名

破間川(あぶるまがわ)中流の断層調査
新発田ー小出構造線の地表部地表に小規模なクラック(地割れ)あり。
左ずれの剪断を伴う開口性の亀裂。

■保坂(工)

山本山調整地付近の調査
途中、分水?与板の堤防道路で水田に噴砂を確認。
小千谷インター?山本山で構造物、道路などの損壊状況を調査。墓石の倒壊状況も調査。

■高浜,鈴木(災害研)

川口町を目指したが入れず、山本山南丘陵部?渋海川?長岡にかけての損壊状況、墓石の倒壊状況の調査。
近接した地域でも被害の差が激しい。地盤による影響と変動の集中の2つの要因が想定される。

■卜部(災害研)ほか

小千谷市街地の調査
船岡山西方で幅100mの被害が大きいゾーンが追跡される。新興住宅地で液状化の被害あり。

■渡部(災害研)ほか院生学生〔理・災害研〕

墓石倒壊状況の広域的調査。

2004年10月26日の調査

■卜部班(災害研)

  • 小千谷市北方の胴切り方向のリニアメント箇所の被害状況調査。
  • 小千谷駅周辺の建物被害。
小千谷駅周辺では、墓石の転倒率は35%程度、小千谷市街部の被害集中ゾーンでは転倒率100%
オプション:与板の信濃川河川敷にある液状化の断面を出してハギトリを行った。

■小林健太ほか(理)計6名

信濃川低地の両縁を調査、地震断層の有無を確認することが主な目的
  • 低地西縁の鳥越断層、関原断層、親沢断層、片貝断層のトレース付近を観察。
    明瞭な地震断層は認められないが、これらの直上では周囲と比べて建造物(土蔵壁面,ブロック塀)の破壊が顕著になる。
  • 小千谷市街地を観察した。建造物の破壊が顕著な帯が北東-南西に配列する。
    また、同方向にフラクチャーの配列も認められる。
  • 低地東縁の悠久山断層の南西延長部(新幹線の脱線開始地点付近)を観察。
    建造物、特に墓地の破壊が著しく、ほとんどの墓石が土台まで崩壊している。

<墓石の転倒率についての広域調査>

■渡部直喜班(災害研・理学部地質)

小千谷市北部の墓石の調査を行った。
片貝を中心とする小千谷市北部の墓石の転倒率は低い。
ところが、3km余り北方、渋海川の谷に入ると転倒率は急増する。

高澤班(理学部地質)

墓石倒壊調査グループに参加し、信濃川右岸の長岡駅周辺を調査。
調査地域では東西方向で倒壊率に差が認められる。信濃川に近いところで倒壊率が高かった。

志村班(理学部地質)

墓石倒壊調査グループに参加し、三島町から北方を調査。
7.13水害による崖崩れ多発地域では倒壊率が高いようである。

墓石の倒壊調査は地質科学科の2-3年生の野外実習の一環として組織された5グループを含む10グループでなされたもので、 これまでの調査と併せると広大な地域をカバーしており、結果がまとまると、今回の地震による震動分布が詳細に見えて来るものと期待される。

■久保田喜裕 (理・自然環境)

実家周辺を写真に収めた。悠久山断層の状況。実家の片づけはひとまず終わりにし、調査に参加。
これから、 悠久山周辺の中沢町、悠久町、若草町、成願寺町、住吉町を中心に調査に向かう。

2004年10月27日の調査

大川・保坂班(工)

上越新幹線脱線現場付近の地盤および信濃川左岸地域の構造物の破損状況

高濱・卜部・鈴木・本郷・片岡・川辺(山形大)班

  • 川口町市街部の被害調査
  • 川口町がけ上温泉施設
  • 和南津地域